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人魚姫の夢
原稿用紙:6枚
男はただの人間だった
海にもぐって漁をした
ある日男は人魚を見た
満月が雲のあいだから
海を明るく照らした晩
人魚が入江を泳いでた
以来男は人魚のとりこ
「あんなふうに泳ぐんだ
彼女みたいに泳ぐんだ」
家族も友達も役人も
みんな男に大反対だ
「泳げるわけがないだろう
だってお前は人間だもの
ただの人間なんだもの」
男は毎日泳ぎのけいこ
海に潜って魚のけいこ
「あんなふうに泳ぐんだ
彼女みたいに泳ぐんだ」
ある日男は発見した
指の間に水掻きが!
* * *
船は優雅に海をわたる
そこから落ちる女の子
あわやスクリューに巻き込まれ
死んでしまうとおもわれたとき
水掻き持った魔法の男
現れかかえて脱出する
* * *
男は港の英雄だ
だけど男は変わらない
「まだまだ俺はまだまださ
あんなふうに泳ぐんだ
彼女みたいに泳ぐんだ」
男は毎日泳ぎのけいこ
海に潜って魚のけいこ
ある日男は発見した
首の付け根に鰓ひれが!
* * *
港につたわる海の伝説
恐ろしき海賊のお宝だ
金銀財宝きらめく宝箱
今は深くて暗い海の底
男は宝を発見する
深くて暗い海の底
伝説信じた魔法の男
今は港の大金持ちだ
だけど男は変わらない
「まだまだ俺はまだまださ
あんなふうに泳ぐんだ
彼女みたいに泳ぐんだ」
* * *
満月が雲のあいだから
海を明るく照らした晩
人魚が砂浜を歩いてた
人魚は王子を救ったのさ
船から落ちた王子さまを
以来人魚は王子のとりこ
魔法で人魚は王子の妃さ
ある日男は発見したさ
砂浜を人魚が歩くのを
立派な王子と歩くのを
* * *
船は優雅に海をわたる
そこから落ちた女の子
魔法の男に救われた子
彼女は男に言ったのさ
「あなたのように泳ぎたいんです
あなたと一緒にいたいんです」
指の間から水掻きが消え
首の付け根の鰓ひれさえ
きれいさっぱり無くなった
もう男はただの人間だった
* * *
ある日男は人魚を見た
満月が雲のあいだから
海を明るく照らした晩
とても幸せそうだった
男もとても幸せだった
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